お店屋さんごっこ始めました

亀屋

高齢の両親の世話で実家に単身赴任するようになって、もう1年が過ぎた。2月までは月に1週間くらいは自宅に戻れていたのだが、3月に母が脳梗塞で救急搬送され入院。1ヶ月ほどで退院は出来たが、右手の手首から先があまり動かなくなってしまった。

それまでも、何だか知らないが家事はほぼすべて私がやっていた。だがその時点では、母はやりたくないから家事をやっていなかっただけなので、私が自分の家に戻ってしまえば嫌々ながらでもやっていたはず、たぶん。しかし、利き手があまり動かないとなるとそうもいかない。

ということで、私は自分の家に戻れなくなってしまった。

諸般の事情から首にピルケースをぶら下げている状態の私は、見かけによらずストレスに弱い。久々に10分以上の発作を2回起こしたが、ひょっとしたらと思い母が救急搬送されるときに診療所の先生に頼んで出してもらった薬でおさまった。しかし、ビビりながらも伸び放題のキウイは剪定ばさみで切りまくらなければならないし、信じられない方向に枝を伸ばしすっかり固くなった南天はノコギリで切らなくてはならない。

元々は医師住宅だったのだが今は賃貸の建物は3棟もあって、庭のこっちの端から草を引いていったら向こうの端が終わる頃には、たぶんまた最初に草を引いた場所が草ぼうぼうになっているだろうという広さ。それでも家の中にいると息ができないような気がして、ほぼ外にいる。

先月の中頃あたりから食欲がどんどん落ちていき、なぜだか声が出なくなった。ずいぶん昔にも同じような状態になったことがある。で、そのまま何年か鬱みたいなのが続いた。声が出なくなって目が見えづらくなり人の話していることが理解できなくなった。たぶん、自分で周囲との接触を遮断しようとするのだろう。

でも私はその鬱以降は、ひどく落ち込んだりすると自動で危機回避スイッチみたいなのが入って、勝手に気分が上がっていたのだ。今回もいつそれが入るんだ入るんだと思っているうちに、体重が5キロ以上落ちた。すごいぞ、介護ダイエット。

で、どうやら、危機回避スイッチは最近自動ではなく手動になったらしい。なんかジタバタすればスイッチが入るのだ。声が出なくなっている私を心配した友だちが、ランチの後に連れて行ってくれたお店で多肉植物を買った。それがきっかけで、どういう訳だか自分でもよくわからないのだが、このけんこう会館(ずっと以前は診療所だった建物。その後、父が改築し「けんこう会館」という看板を掲げて、一時期地域の人の集う場所になっていた。今は私の仕事場だったりする)の玄関前に、テーブルや椅子を並べてカフェごっこを始めた。亀柄ののれんも用意し、ついにはガーデンパラソルまで購入。

カフェごっこといっても、午後の2時間くらい私がここで書き物したり本を読んでいる時に、たまたま前をご近所さんが通ったら、半ば強制的に連れてきてコーヒーやお茶を出すというだけのこと。まあ、山間僻地なので、ほとんど人は通らない。なので、被害をこうむっているご近所さんは数人。お願いですから、けんこう会館前を避けて遠回りしないでね。

ちなみに、ごっこといえども店名はある。「珈琲庵 亀屋」。例の多肉植物を買いに連れて行ってくれた友だちが考えてくれた。実は看板もある。でも、席につかないと見えない位置なんだけどね。

プロフィール

かわべ遊亀

Author:かわべ遊亀
実家に単身赴任中。けんこう会館という名前の建物で、けっこう不健康に暮らしています。『理科の探検(RikaTan)』(SAMA企画)に「はれときどきカメ in 但東」を連載中。

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